弓道愛好者や初心者にとって、射法八節は重要な基礎です。この古武道の基本手順を正確に理解し、練習することで、的に矢を命中させる技術を磨くことができます。
この記事では
✔射法八節の具体的な手順や練習方法を詳しく解説。
✔射法八節の歴史や起源について。
正しい構え方や動きのポイントを理解し実戦してみましょう!
射法八節の基本を理解しよう

射法八節とは?
弓道では、矢を的に向かって射るときに、決まった8つの手順があります。
- 足踏み(あしぶみ)
- 胴造り(どうづくり)
- 弓構え(ゆがまえ)
- 打起し(うちおこし)
- 引分け(ひきわけ)
- 会(かい)
- 離れ(はなれ)
- 残身・残心(ざんしん)
これが「射法八節」と呼ばれる基本です。
これを覚えておくことは、弓道を始める上でとても大切です。8つの動きを滑らかにつながっていくことが重要です。
それぞれの動きについて簡単に説明していきます。
基礎的な流れとポイント
射法八節の基本的な流れを一つ一つ解説します。
- 足踏み(立つ位置を決める): しっかりとした足の位置を決めます。足を構えて、体を安定させることが大切です。足の角度は約60度。
- 胴造り(姿勢を整える): 背筋を伸ばし、肩を引いて正しい姿勢を保ち胴体を安定させる。姿勢が崩れると矢の飛び方に影響が出ますので、しっかりとした姿勢を保ちます。
- 弓構(ゆがまえ)(弦に指をかける): 弓に矢を取りかけます。手の内を整え、的に顔を向けます。指の位置や弓の持ち方が正確でないと、矢が正確に飛ばないことがあります。注意深く行いましょう。
- 打起(うちおこし)(弓を持ち上げる): 弓を持ち上げ、矢を的に向けます。弓を持つ手の力加減やバランスが重要です。
- 引分(ひきわけ)(弓を引く): 第三の形をとり、引き具合を均等に保ちながら口元まで下げる。
力を均等に保つことがポイント。 - 会(かい)(狙いを定める): 的に向かって正確に狙いを定めます。狙いがずれると的に命中しないので、集中して確実な狙いを定めます。
- 離れ(矢を射る): 弓を放ち、矢を的に向けます。弓の弛緩のタイミングや手の動きが矢の飛び方に影響します。
- 残心(ざんしん): 矢を射った後、腕の形は大の字にちかい。的に集中したまま次の矢に備えて心を静めましょう。

この動きは、まだ弓を持てない初心者の方でも練習ができます。
弓を持ったイメージですることもできますし、ゴム弓を使う練習法もあります。ゴム弓はバランスのトレーニングにもなりおすすめです!
⇧射法八節の形を整えるために必須!
力の入れ具合か学べます。
⇧弓を引いた時の引きに近く、実戦形式で学べます。

弓をまだ持たない初心者の方は一つ目の、新ゴム弓をおすすめします。
基本練習に最適な道具です。
射法八節:八つの段階とそれぞれの意味について説明
- 準備(じゅんび): 弓を握り、的に向かって立ちます。身体のバランスを整え、集中力を高めます。心を落ち着かせ、集中力を高めることが大切です。
- 起(おこし): 弓を引くための基本的なポジションを取ります。腰を軽く屈め、弓を地面に向け、矢を取ります。この時、背筋を伸ばし、腕の力を抜きます。
- 引(ひき): 矢を弦に引きます。ゆっくりと力を込め、正確な位置に矢を引きます。ポイントは、一定のリズムで引くことと、指の力を均等に分配することです。
- 見(み): 的を見つめます。集中力を高め、狙った的を見失わないようにします。目は的の中心に集中し、心も的に向かっています。
- 引(ひき): 引いた弓を維持しながら、さらに引きます。この時、身体の安定を保ち、弓を握る手の力を抜いていることが重要です。
- 放(はな): 的に向かって矢を放ちます。放つ瞬間は、体をリラックスさせ、心を静めることが重要です。弓を握りすぎないようにし、緊張を解きます。
- 過(すぎ): 矢を放った後も、動きを止めずに体のリラックスを保ちます。的に当たった場合でも、その瞬間に興奮せず、次の射を準備します。
- 伏(おい): 矢が的に当たった場合は、矢が的に刺さった姿勢で床につけます。的に当たらなかった場合も、矢をしっかりと地面に置きます。
射法八節をマスターするコツとヒント

“基本を制する者は世界を制する” と言う言葉があります。
基本の大切がよく分かることばです。
弓道の基本、射法八節をマスターし技術向上につなげましょう。
ヒントやアドバイスをいくつか紹介します。参考にしてみてください。
その1
- 分割して覚える: 射法八節を一度に全て覚えようとせず、各動作を個別に理解して覚えることから始めましょう。例えば「構え」から始めて、それが身についたら次に「握り」を追加していくようにします。
- 反復練習:これが一番大事! 各動作を繰り返し練習し、身体に覚えさせることが大切です。繰り返し行うことで自然と身につきます。
- イメージトレーニング:実際に弓をもって練習できない場合でも、頭のなかで動作をイメージすることで射法八節の動作を習得できます。
- 感覚を意識する: 各動作を行う際に、身体の感覚に意識を向けることで、より正確な動作を身につけることができます。弓を引く際にどのような感覚があるかを意識してみましょう。
その2
- 先生や先輩からの指導: 指導者や上級者からのアドバイスを積極的に受けることを強くおすすめします。自分の動作を改善するためのヒントを得ることができます。素直に聞きましょう。
- 集中力の向上: 矢を的に正確に向けるためには、集中力を高めるトレーニングが必要です。瞑想や呼吸法などを取り入れて集中力を養いましょう。
- 体力と柔軟性の向上: 弓道は体力や柔軟性も必要です。定期的なストレッチや筋力トレーニングを行い、体のコンディションを整えることが重要です。
- 反省と改善: 練習や試合の後には、自分の動作や課題を振り返りましょう。何がうまくいったか、何が改善すべきかを反省し、次回に活かすことができるようにしましょう。
- 楽しみながら練習する: 楽しんで練習することでモチベーションが維持され、より効果的に習得することができます。
歴史と起源
弓道は日本で最も古い武道の一つで、中国の礼の思想に影響され、奈良・平安時代に朝廷の行事として重要視されていました。鎌倉幕府の源頼朝が武士の鍛錬方法として弓馬の術を採用し、これを広めたのが小笠原家の初代長清でした。その後、小笠原家は代々師範として弓道の指導にあたり、江戸時代には武士社会に根付きました。
しかし、鉄砲の登場により戦場での役割が減少し、弓道は心身の鍛錬に焦点が移りました。明治時代には弓道として引き継がれ、大日本武徳会のメンバーにも加わりました。戦後の1945年、GHQによる武道禁止令が出されましたが、武道の復興運動はすぐに始まり、1949年には日本弓道連盟(現・全日本弓道連盟)が創立されました。2006年には国際弓道連盟が設立され、弓道は国内外で広まりました。現在、全日本弓道連盟の会員は約130,000人で、中学校の武道必修化などを背景に人気が高まっています。
まとめ
- 射法八節は、弓道の基本形式の一つであり、矢を的に向かって射る際に行う8つの手順からなる。
- これらの手順は足踏み、胴造り、弓構え、打起し、引分け、会、離れ、残身・残心の順に行われる。
- 射法八節の習得には基本的な理解から始め、各動作のポイントを押さえながら練習を行うことが重要。
- 練習の際には、分割して覚える、反復練習を行うほか、イメージトレーニングや感覚を意識することも役立つ。
- 射法八節の歴史と起源は、奈良・平安時代に遡り、鎌倉時代には武士の鍛錬方法として採用された。戦後の武道禁止令を経ても、武道の復興運動が行われ、現在は全日本弓道連盟を中心に広く普及している。
射法八節一連動作の図解があります→全日本弓道連盟